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​​ネコポスが順次終了。その理由とメルカリ便への影響について推測する

メルカリユーザーがお世話になっているヤマト運輸「ネコポス」が2023年10月をもって順次終了。今後「クロネコゆうパケット(仮称)」として日本郵便が配達することになった。

本記事ではフリマアプリユーザーに向けて、物流界隈で何が起こってるか私なりの解釈を混ぜつつ解説していく。難しい話は一切しないので、詳細を知りたい人は参考文献を漁ってほしい。

きゃたぬき
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きゃたぬきです。TwitterYouTubeもやっています。

解説動画

下記の動画でも詳しく解説しています

https://t.co/FiIJkWh0pD

前提:2024年問題とは?

出典:ビジネス+IT

前提として物流業界は大きな問題を抱えている。長時間労働が当たり前になっている配達ドライバーの環境を改善する制限が2024年に開始するのだ。これを通称「2024年問題」という。詳細は別記事参照。

労働環境は良くなる一方、同じサービスを維持するため送料が値上げされたり、また配達ドライバーの給料が下がれば担い手が減るため、配達が大幅に遅れる問題が懸念されている。

結論:今回の件について

結論を言うと、ネコポスの配達を日本郵便に任せることになった。これに伴い名称が「クロネコゆうパケット(仮称)」に変更する。

根幹のネコポスサービスは消えないが、配達を日本郵便が担当することで

  • 配達速度の低下(ゆうパケット並?)
  • 料金の値上げ

が懸念される。一方フリマアプリ利用者が気にしている「らくらくメルカリ便」などは存続するだろう。

この変更は2024年問題も視野に入れ、儲からないのに数が多いネコポスを日本郵便に任せつつ、配達員の長時間労働を抑えつつ収益改善を図るヤマト運輸の狙いが見て取れる。

厳密には【メール便】なるサービスの方が母数も多いのですが、フリマユーザーに関係ないので省略します

ヤマトと郵便局の比較データ

話を理解しやすくするため、日本郵便とヤマト運輸の

  • 小型荷物の取扱数
  • 中型・大型荷物の取扱数
  • 営業所の数

を比較していこう。

小型の荷物(2021年)

ゆうパケット:4億2千

ネコポス:2億9千

  • ゆうパケット:4億2千
  • ネコポス:2億9千

およそ1億個ほど日本郵便の方が多い。今回の件によって合計7億程度の荷物を扱うことになる。

中型・大型の荷物(2021年)

ゆうパック:9億

宅急便:18億

  • ゆうパック:9億
  • 宅急便:18億

ヤマト運輸が日本郵便の倍以上の中大型荷物を取り扱っている。後述する営業所数を考えると驚異的な数字。

郵便局・ヤマト運輸の営業所数

郵便局:24,251(2023年)

なお簡易郵便局(配達をしない)や閉鎖中の郵便局を含んでいますが、それでもヤマトと比較して桁違いな事実に変わりませんので悪しからず。

ヤマト運輸:3,484(2022年6月)

  • 郵便局:24,251(2023年)
  • ヤマト運輸:3,484(2022年6月)

インフラとも言える手紙を運ぶ郵便局は多く、ヤマト営業所の8倍近い。


ここまでを簡単にまとめると

  • 小型荷物は日本郵便が多い
  • 中大型荷物はヤマト運輸が多い
  • 営業所数は日本郵便が約8倍

となる。続いてヤマト運輸の取り扱う荷物について、決算資料から確認していこう。

ヤマト運輸の決算資料より

扱う宅配便に関して

  • 14%:ネコポス
  • 86%:中大型荷物

となっている。

そして単価はネコポス1つ195円に対し、宅配便が704円。このことから

ヤマト運輸の稼ぎ頭は「宅急便

と理解できる。ネコポスを3つ運ぶなら宅急便1つ運ぶ方が儲かるのだ。

ネコポスは割に合わない

しかし現実、ネコポス一つでもドライバーは動かざるを得ない。僻地に住む人が単価の低いネコポスを利用していても配達員は嫌な顔を(表では)見せずに届けてくれる。

どうせ運ぶなら儲かる方が嬉しいのは企業として当然の話。2024問題も控えているため、利益が少ないのにドライバーの労力がほぼ同じネコポスを運びたくない。そこで日本郵便に任せる「クロネコゆうパケット(仮称)」を始めるのだ。

ちなみに郵便局の負担は小さいだろう。日本郵便は元来、小型郵便を届けるインフラ的役割を担ってきた。その影響もあり全国に営業所が巡らされている。この背景故に、郵便物を届けるついでにゆうパケットも配達できるのだ。そこにネコポスが加わる形。

ヤマト運輸から業務委託金が入ってくることも踏まえ、総合的に痛手になりにくいだろう。むしろ日本郵便はゆうパック等の大型荷物をヤマト運輸・佐川急便に委託したい…かもしれない。

今後の動きについて

最後に、今後フリマアプリにおける変化を想像しながら記事を終わりたいと思う。なおメルカリを中心に話していくが、メルカリ便=ラクマパック=おてがる配送と各自変換してほしい。

らくらくメルカリ便は消えない

まず「らくらくメルカリ便」の存続について、あくまでネコポスの部分が「クロネコゆうパケット(仮称)」となり続行するため、らくらく便自体が消える訳じゃない。

値上げの可能性は高い

一方で値上げの可能性は大いにある。ネコポスとゆうパケットの現状価格差20円を埋めるのは容易に想像がつく。ただしヤマト運輸的にもメルカリ客は失いたくない為、同価格または220円に収まると予想する。

ゆっくり配送の序章か?

あとは余談だが「ゆっくり宅配」がスタートすると妄想してる。これは2022年に話題となった、配達速度を落とす代わりに送料を値下げするサービスをメルカリが検討してる、というニュースだ。

日経によれば米アマゾンなどが導入する手法をメルカリも検討中だったが、1年経っても音沙汰なし。しかし2024年問題に直面する今なら利用者の理解も得られやすいと思う。

間違いなく導入直後は問題が生じるが、先延ばしにしてもトラブルは結局発生する。いち早く物流業界に変化を与えれば話題性にも事欠かないだろう。個人的に「ゆっくり宅配」の舞台が整ったと確信しているため、今後の動きに期待したい。

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以上、参考になれば幸いです。

それじゃあ、また!

参考文献

日本郵政グループとヤマトグループ 持続可能な物流サービスの推進に向けた基本合意について – 日本郵便
https://www.post.japanpost.jp/notification/pressrelease/2023/00_honsha/0619_01.html

ヤマト、メール便配達を日本郵便に移管 ネコポスも – 日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC192L20Z10C23A6000000/

「クロネコDM便」「ネコポス」終了へ…2024年問題を前に日本郵政とヤマト運輸が協業|ECのミカタのニュース記事です
https://ecnomikata.com/ecnews/39447/

物流の2024年問題とは何かをわかりやすく図解、3つの課題と悪影響、対策など徹底解説 連載:「日本の物流現場から」|ビジネス+IT
https://www.sbbit.jp/article/cont1/68543

EAZY | ヤマト運輸
https://business.kuronekoyamato.co.jp/service/lineup/eazy/index.html

会社概要 | ヤマト運輸
https://www.kuronekoyamato.co.jp/ytc/corp/corporate/summary.html

ヤマトグループ IR説明会資料 (2021年3月期通期)
https://www.yamato-hd.co.jp/investors/library/briefing/pdf/4q_setsumei_2021_03_fq.pdf

郵便局局数情報〈オープンデータ〉 – 日本郵便
https://www.post.japanpost.jp/newsrelease/storeinformation/index02.html

2021年度郵便物・荷物の引受物数 – 日本郵便
https://www.post.japanpost.jp/notification/pressrelease/2022/00_honsha/0509_01.html

メルカリあえて「ゆっくり宅配」 送料安く物流に優しく – 日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC1331U0T10C22A3000000/

配送方法 早わかり表 – メルカリ スマホでかんたん フリマアプリ
https://help.jp.mercari.com/guide/articles/1080/